社長をクビにしたたキャラクターの力

上場企業の社長の首を挿げ替えたというのは、すごいタイトルですが、
社長の首が挿げ替えられた会社というのは、
実は「カーズ」の配給会社、ディズニーのことです。


ディズニーはテーマパークで世界最大、映画でも大手の配給会社です。
その最高経営責任者マイケル・アイズナー氏が失脚、2005年10月に交代します。


その社長交代劇に大きくかかわっているのが、
実は「カーズ」を制作したピクサー・アニメーションスタジオです。

1990年代、アイズナー氏は、ディズニーをクリエイター・ハウスから
メディア・トレーディング・ハウス(商社)に変身させました。


クリエイティビティよりも利益を重視する経営は、大きな利益を生み、
証券業界や投資家グループから高い評価を得ましたが、
大人も子供も楽しめるディズニーの姿は薄れていきました。


そのもっとも顕著な例が、アニメーション映画でした。
ピクサーの作った最初のCG映画「トイ・ストーリー」は、
同じ年に公開されたディズニーの「ポカハンタス」より5000万ドル多く
興行収益を上げます。


ピクサーの品質がディズニーを凌駕したのですね。
これはCGが目新しいということにとどまらないのは、
ピクサー作品をご覧になった方ならお分かりになると思います。


ピクサー作品にはディズニー作品が失いつつあった
「大人も楽しめる」要素がしっかりと織り込んであったからです。


それからその傾向は徐々に強まって、2004年にはディズニー作品は
ピクサー作品の1/3しか収益を上げることができませんでした。


つまりディズニーは、配給するピクサー作品が大成功をおさめ、
収益面を得る一方、自作のアニメ映画はピクサー作品によって
目の肥えた一般大衆に飽きられていったんです。


つまり、ディズニーの業績を維持するためには、
ピクサーはなくてはならない存在ですが、
ピクサーが成功するほどディズニーの競争力はなくなっていったんですね。


そして、このころからピクサーとディズニーの契約更新の話が持ち上がります。
契約では次の作品(つまり今上映中のカーズ)が、
ディズニーが配給できる最後のピクサー作品だったのです。


実はこの契約というのが、ものすごい不平等契約だったのですね。
ディズニーはピクサー作品を配給するだけでなく、
ピクサーのキャラクターの版権、つまり商品化権を持っていたのです。


CMしか作ったことが無かった昔のピクサーとは違います。
いまや、出す映画全てがヒットする奇跡のクリエイティブハウスなのです。
(CG業界をリードするもう一方の雄DreamWorksですらこけたことがある)


当然、そのような不平等契約は結びません。
にもかかわらず自社の利益を確保したいアイズナー氏は、
従来の契約にこだわったのです。


その対立はアイズナー氏とピクサーCEOのスティーブ・ジョブス氏
(Appleの生みの親にして、現CEO。iMacやiPodの仕掛け人)の
感情的な対立まで発展しします。


ついにジョブス氏がメディアで、ディズニー批判をするまでになりました。
こうしてディズニーとの契約更新は破綻し、
ピクサーは新たな配給パートナーを探すことになりました。


で、このことがきっかけに、ディズニー家唯一の役員から、
アイズナー氏の経営方法に批判があがります。


つまり、クリエイティブでなく、商社になったディズニーでは
顧客が満足できないというわけですね。
実際、テーマパークの不振に加え、アニメーションでは失敗続きでした。


お家騒動から、アイズナー氏への不信が機関投資家や役員会から一気に噴出し、
アイズナー氏は退陣に追い込まれてしまいました。


ピクサーとの別離がきっかけだったことは、2005年10月、
ロバート・アイガー氏がディズニーの新しいCEOに就任するやいなや、
まず、ジョブス氏との関係改善を切望。
ディズニーはアップルのiPod向けコンテンツをいち早く供給するなど、
積極的に融和の姿勢を示したことでも明確だと思います。


つまりキャラクターというのは、超一流企業の最高経営責任者の
クビを挿げ替えるほどの影響力があるということですね。
なにしろ、今回の社長交代劇のきっかけは、
キャラクターの商品化権だったわけですから。


さて、ディズニーとピクサーのその後ですが、
今年の初頭、ディズニー社がピクサー社を買収することで決着しました。


とは言っても、同じ頃日本で流行った敵対的買収ではありません。
ピクサー社はジョブス氏一人が過半数の株を持ってましたので、
今はジョブス氏がディズニー社の個人筆頭株主です。


それ以外にも、ディズニーのアニメーション部門のトップは、
ピクサーのアニメーション部門のトップがそのまま兼任し、
そればかりでなく、ピクサー最高のクリエイター(カーズ監督)の
ジョン・ラセター氏はテーマパーク部門にまで影響力を与える
ポジションに着いたのですから。


いかがですか?

まさか、キャラクターがただの子供だましだと思っている人は
ここの読者にはいないと思いますが、
これほどの力があるとは思いもよらなかったのではないでしょうか。


それだけ力のあるキャラクター、ビジネスに利用しない手はないですよね。


ところで、ディズニーにもキャラクターがあったのに、
ピクサーには勝てなかったのはなぜでしょう?
それは次回、無責任に考えてみたいと思います。

posted by キャラクター販促大王 at 18:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | キャラクター販促
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